検討すべき進出形態①(独資・合弁)

高橋 祐希
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祐希
祐希
今回は、海外進出時に検討すべき進出形態として、独資と合弁について説明します。
はるか
はるか
自社が現地で直接ビジネスを行う場合は、法人設立は避けて通れないよね。
祐希
祐希
法人設立をする場合は独資か合弁かどちらかになるかと思います。それぞれのメリットデメリットをしっかり把握しましょう。

Ⅰ.法人設立の必要性について

海外に進出する場合、外国人が個人のステータスで現地で事業を行うことは難しいケースが多いです。通常は、どのビザでどのようなステータスで入国するのかが問題になります。

自国に企業などの拠り所がなく、海外に渡ってビジネスを始めようとすると、多くの場合現地当局からは移民扱いを受けることになります。

そして多くの場合、各国は移民を快く思っていません。その個人が帰る場所(国)と帰るための資金があればいいですが、無い場合には生活保護などの社会保障を受けたり、路上生活者になったり、場合によっては犯罪を犯す可能性もあります。

このため、その個人に個人としての信用力(一般的には、財力証明(銀行口座の残高証明)と、無犯罪証明)がないと、個人事業主としてのビザは発給されないと言われます。

また、先進国を中心としてフリーランスビザを発給しているところもありますが、それほど数は多くありません。また、発給している場合でも事業計画書の提出であったり、社会保障の支払いができることであったりなど、付帯的な要件があることがほとんどです。

このため、基本的には海外進出にあたってはい外国から現地に投資をするという形で、法人設立をすることを選択することになります。

Ⅱ.設立の形態について

海外において会社を設立する場合、基本は各国の企業設立を定める法律(会社法、商法、民法など)に基づくことになります。各国それぞれ違いますが、一般的には株式会社か有限会社が選ばれることが多いと思います。

今回のご説明する独資、合弁の形態については株式会社での会社設立を念頭に置いたものになりますので、ご注意ください。

1.独資について

独資会社とは、会社を設立する際に、すべて(100%)の資本金を自己資本で出資する場合に設立された会社をいいます。

100%出資しているということは、会社の株式を100%持っていることになり、株主総会における議決権も100%有することになりますから、原則自分の決めたことがそのまま会社の決定とすることが出来ます。

一方で、会社設立を100%自分の力で行っていることから、会社の運営についてのリスクはすべて自分で負うことになります。

独資のメリット、デメリットをまとめると以下のとおりになります。

独資まとめ


メリット
・自主性、独立性が高く、利益幅も大きい。
・商品戦略、ブランド維持、立地戦略などもほぼ自社の裁量で決定できる。

デメリット
・投入コスト、投入人員が大きく、失敗時のリスクは大きい。
・現地の市場や商流の開拓を一から自社のみの力で行わなければならない。

2.合弁について

合弁会社とは、会社を設立する際に、2者以上が出資しあって合弁契約などにより設立する会社のことを言います。

例えば、タイにおいてサービス産業に参入する場合、外資は49%までしか出資できずタイ人ないしはタイ企業に51%以上出資してもらう必要があります。この際、外資とタイ側は合弁契約を締結し、合弁会社を設立することになります。

(1)メリットについて

a.市場への参入容易性向上

先ずは、上記タイのように一定の業種の参入において外資による独資での進出が出来ない国の場合、合弁であれば現地でビジネスを実施することが出来ます。

伝統・文化・習慣・言語・宗教などが違う海外において、勝手を知っている現地パートナーと協業することにより、現地パートナー側にこういった現地ならではの部分を任せることが出来るのは、合弁の場合の大きなメリットになります。

b.相手側のノウハウ・資産の活用

また、パートナー側は現地で既に商流を持っていたり、ノウハウを持っていたりした場合に、これらを活用することが出来るのもメリットです。

c.コストメリット

そして、何よりもコスト面のメリットが挙げられます。5000万円の事業を行うとしても、50%ずつの出資を行う合弁事業であれば、双方2500万円の出資で済みますし、こちらからのみならず、現地パートナー側も合弁企業に対してヒトやモノ、カネなどを拠出してくれます。

仮に本事業が失敗した場合でも、リスクは出資割合に応じて分担されることになります。

(2)デメリットについて

a.企業運営上のトラブル

一方でデメリットとしては、日本企業の多く(特に中小企業)はオーナー企業であるケースが多く、この場合オーナー社長がすべてを取り仕切って会社を切り盛りしています。

これを反対から見てみると、これらオーナー企業の社長は会社運営について他人から口出しをされた経験が無い場合が多いとも言えます。しかし、合弁会社を設立した場合は、場合によっては上記タイの場合のように相手側の方が出資比率が高く、相手の発言権の方が強いケースもあります。

そうすると、海外展開にあたって自社が考えていたこと、現地で行いたいと思っていたこと一つ一つにパートナー側の同意が必要になることになります。このため、事業を実施するためには先ずパートナーを納得させるところから始めなければなりません。

こういった社内の調整がうまくいかず、トラブルになるケースも散見されます。

b.ノウハウや技術の流出

合弁企業を設立して事業を展開する場合は、双方が技術やノウハウなどを持ち寄って事業を実施する事がほとんどです。そうすると、こちらのノウハウや技術をパートナー側に開示することにもなるので、将来的に合弁が解消してしまった時などに、相手側に流出したこちらのノウハウや技術を使われてしまう可能性があります。

c.利益の配分

双方が出資して事業を展開し、利益が上がった場合には出資割合に応じた形で利益が配分されることになります。少額出資であれば、リスクは低いが利益も低くなります。

d.パートナーの選定

合弁会社・事業の成否は偏に良いパートナーに恵まれるか否かで決まります。しかし、パートナーの選定は各社が一番苦労するポイントで、中々良いパートナーに巡り合うことが出来ないのが実情です。

合弁まとめ


メリット
・現地市場へのアクセスが容易となる。
・相手側の技術やノウハウ、商流などを活用できる。
・コストが出資割合で済む。

デメリット
・企業運営を自社のみで決定できない。
・技術やノウハウの流出の可能性がある。
・利益を分配する必要がある。
・良いパートナーはなかなか見つからない。

祐希
祐希
合弁時に起こり得る出資比率と会社の経営権の問題については別の記事をご参照ください。
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髙橋祐希
髙橋祐希
海外進出コンサルタント
外食・小売・教育・理美容・コンテンツなどのサービス産業を中心に海外への進出・店舗開店支援を行います!
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