検討すべき進出形態②(フランチャイズ)

高橋 祐希
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祐希
祐希
今回は海外進出時に検討すべき進出形態として、フランチャイズ(FC)について説明します。
はるか
はるか
自社が法人設立できない進出先の場合は、FC展開という方法があり得るわね。
祐希
祐希
FCにはFCのメリットやデメリットがありますので、しっかりと抑えるようにしましょう。

Ⅰ.フランチャイズとは

日本の公正取引委員会はフランチャイズを以下のように定義しています。

「本部が加盟店に対して、特定の商標、商号等を使用する権利を与えるとともに、加盟社の物品販売、サービス提供その他の事業・経営について、統一的な方法で統制、指導、援助を行い、これらの対価として加盟社が本部に金銭を支払う事業形態」

例えば、「ある企業Xのビジネスモデル(Z)がとても優秀で知名度も高く、他社Yがこれと同じことを行いたいと考えた場合、XはYに対して自社のビジネスモデルを貸与した上でカーボンコピーしたものを利用する権利を与える。その際、YがXのビジネスモデルを全く同じ形で行えるようにするため、XはYに対して商標やメニューなどの知的財産権の貸与や、技術指導などの物理的支援を行う。その替わりに、XはYからそのビジネスモデルの使用料のような形で金銭的対価(ロイヤルティ)を得る仕組み」、がFCの一例です。

はるか
はるか
日本でもファストフードチェーンやコンビニエンスストアなどがフランチャイズ店舗を構えているのをよく見かけるわね。

上記の事例において、元々のビジネスモデルを持っており、それを他社に貸し与える企業Xのことを「フランチャイザー(フランチャイズ本部)」、ビジネスモデルを借りる企業Yのことを「フランチャイジー(フランチャイズ加盟店)」と言います。

このようにFCは、法人設立を行い自分で事業を実施する「直営」型での事業展開と異なり、他人・他企業にビジネスモデルを貸し与える「非直営」型の事業展開となります。

祐希
祐希
FCを検討するにあたっては以下のポイントについて注意する必要があります。

(1)主なフランチャイズの形態について
(2)越境型・非越境型
(3)独占・非独占
(4)フランチャイズのメリット・デメリットについて
(5)フランチャイズとライセンスの違い
(フランチャイズと看做される要件)
(6)フランチャイズ法について
(7)フランチャイズパートナーの見つけ方について
(8)法律による制限

祐希
祐希
今回は、進出形態にフォーカスして(1)についてご説明します。(2)~(8)については、別の記事をご参照ください。

Ⅱ.主なフランチャイズの形態について

主なフランチャイズの形態には以下の3つがあります。
1.ユニット(単体)フランチャイズ
2.エリアフランチャイズ
3.マスターフランチャイズ

1.ユニット(単体)フランチャイズ

フランチャイザーとフランチャイジーが出店する店舗ごとにフランチャイズ契約を締結する形態。
[cat_fusen01 title=”事例1″]フランチャイザー(X)がフランチャイジー(Y)との間でA国1店舗目の出展の為のフランチャイズ契約を結んだ。1店舗目がうまくいったので、YはXとの間で新たな2店舗目の出展の為の契約を別途結んだ。[/cat_fusen01]

[cat_fusen01 title=”事例2″]フランチャイザー(X)がフランチャイジー(Y)との間でA国1店舗目の出展の為のフランチャイズ契約を結んだ。新たに別の企業(Z)がXのブランドを展開したいとのことだったので、XはZとの間でも1店舗出店のための契約を結んだ。[/cat_fusen01]

メリットとしては、単店舗ごとのフランチャイズ契約となるため、実績のない企業とも契約が結びやすいこと、またフランチャイジー候補に店舗運営能力があるか、多店舗展開能力があるかを見定めることが出来るところです。

デメリットとしては、パートナー毎の契約を結ぶ必要性があるため、契約のたびに条件交渉を行う必要があること、また、その管理が煩雑になる可能性があることです。

2.エリアフランチャイズ

フランチャイザーとフランチャイジーが締結するエリアフランチャイズ契約に基づき、フランチャイジーが出店できるエリアを取り決める代わりに同エリアにおいて多店舗展開を認める形態。
[cat_fusen01 title=”事例1″]フランチャイザー(X)がフランチャイジー(Y)との間でタイのバンコクを指定エリアとするエリアフランチャイズ契約を締結し、Yはバンコクに5店舗開業した。[/cat_fusen01]

メリットとしては、あるエリアに絞っての複数店舗展開を認めることが出来るため、多店舗展開のテストを実施できるところです。また、パートナーの財力や事業力で多店舗展開が果たせます。

デメリットとしては、多店舗展開を認めることになるため、運営が杜撰に行われればブランドの棄損に繋がるし、フランチャイザー側の管理が難しくなります。

3.マスターフランチャイズ

フランチャイザー―とフランチャイジーが締結するマスターフランチャイズ契約に基づき、フランチャイジーが一定の条件の下に本部機能を運営すること認める形態。

[cat_fusen01 title=”事例1″]フランチャイザー(X)がフランチャイジー(Y)との間でマスターフランチャイズ契約を締結し、Yは本事業の加盟店としてA社、B社、C社とフランチャイズ契約を行った。[/cat_fusen01]

上の事例の場合、XとYの間ではXがフランチャイザー、Yがフランチャイジーという関係ですが、YとABCとの間ではYがフランチャイザー、ABCがフランチャイジーという関係になります。

この場合、Xのことを「マスターフランチャイザー」といい、Yのことを「マスターフランチャイジー」と呼びます。またABCのことは「サブフランチャイジー」と呼ばれます。

メリットとしては、フランチャイズパートナー側からさらにFC権を他社に付与することが出来るため、有力なフランチャイジー候補の開拓をマスターフランチャイジーであるパートナーに任せることが出来ます。

デメリットとしては、フランチャイザーである日本側と直接的に契約関係を持たない第三者がサブフランチャイジーとして現れることになり、状況の把握、事業運営・管理に苦労することが容易に考えられます。

通常、パートナー側は自社で好きなように運営して、かつ大きな利益を得られるビジネスを展開したいと望むため、契約交渉の最初の段階からマスターフランチャイズ権やエリアフランチャイズ権を付与するように要求してきます。

しかし、ユニットフランチャイズ < エリアフランチャイズ < マスターフランチャイズの順でフランチャイジー側の権限が大きくなるため、フランチャイズパートナーの良し悪しの見極めが出来ないうちは、相手側に必要以上の権限を与えないためにも出来るだけユニットフランチャイズ契約から少しずつ拡大していき、うまくいった場合の契約更新時のエサとしてエリアフランチャイズやマスターフランチャイズ権を付与することを検討した方が良いと思います。

要点まとめ


1.ユニットフランチャイズ
メリット:単店契約になるため、実績のない企業とも契約しやすい。
デメリット:契約数が多くなり、管理が煩雑になる。
2.エリアフランチャイズ
メリット:パートナーの運営・展開能力を試せる
デメリット:パートナーの運営が杜撰な場合、ブランド既存の可能性
3.マスターフランチャイズ
メリット:フランチャイジーの能力次第で迅速な多店舗展開可能
デメリット:知らない企業が自社ブランドを展開する可能性あり

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髙橋祐希
髙橋祐希
海外進出コンサルタント
外食・小売・教育・理美容・コンテンツなどのサービス産業を中心に海外への進出・店舗開店支援を行います!
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