検討すべき進出形態④(フランチャイズ③)

高橋 祐希

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祐希
祐希
今回は進出形態としてのフランチャイズ第2回目として、実際に海外でフランチャイズビジネスを実施する際のパターン3つについてご説明します。

はるか
はるか
前回はフランチャイジーに与える権限の範囲でユニット、エリア、マスターの3つに分かれていたけど、それとは違うの?

祐希
祐希
前回は契約によるフランチャイジーへの権限の付与が主な論点でしたが、今回は運営する際に国境を跨いでどういう方法があるか、と言う話になります。

Ⅰ.フランチャイズを実施する3つのパターン

先ず、フランチャイズの基本については以下の記事をご覧ください。

検討すべき進出形態②(フランチャイズ)

このフランチャイズの実施方法として、

1.日本企業X(フランチャイザー)が日本にいながら、現地パートナーY(フランチャイジー)と越境で契約しFC展開するパターン(越境型)

2.日本企業X(フランチャイザー)が現地に子会社Yを設立し、Yがマスターフランチャイジーとしての権利を受け、現地パートナーZ(サブフランチャイジー)と契約しFC展開するパターン(現地FC本部設置型)

3.日本企業X(フランチャイザー)が現地パートナー(フランチャイジー)と越境でマスターフランチャイズ契約を行い、他の現地企業とサブフランチャイズ契約を行いFC展開するパターン(越境契約・現地指導型)

この3つをそれぞれ説明していきます。

1.越境型

日本企業X(フランチャイザー)が日本にいながら、現地パートナーY(フランチャイジー)と越境で契約しFC展開するパターン。

フランチャイズ(越境型)

中小規模の事業者など、現地に進出し法人を設立したり人を赴任させたりする余力がない場合に使われるケースが多いです。

一番原則的な形態の進出方法で、上の図では現地フランチャイジー3社とフランチャイズ契約をそれぞれ結んでいる形になりますが、これは以前ご説明したユニットフランチャイズを3社と行っていると言うことです。

この形態のメリットデメリットは以下のとおりです。

メリット

  • 投入コスト、投入人員が小さいため、資金的なリスクが少ない。

デメリット

  • 現地パートナーの意欲・人脈等に依存するため、成否はパートナー次第。
  • 出店スピード、ブランディングも制御しにくい。
  • 契約内容次第では、自社の直営店を出せないことも。
  • 現地の店舗をどのように管理するかが大きな課題。

2.現地FC本部設置型

日本企業X(フランチャイザー)が現地に子会社Yを設立し、Yがマスターフランチャイジーとしての権利を受け、現地パートナーZ(サブフランチャイジー)と契約しFC展開するパターン。

マスターフランチャイズ、サブフランチャイズは以下を参照してください。

検討すべき進出形態②(フランチャイズ)

フランチャイズ(現地FC本部設置型)

フランチャイザーであるXが自社の子会社Yを現地に設立し、そこをマスターフランチャイズとするため、現地におけるブランドの維持管理や現地での技術指導が越境型に比べて容易に行えるのが利点。一方で、現地に法人を設立することになるため、法人設立のコストや人員コスト、維持管理費などが掛かります。

この形態のメリットデメリットをまとめると以下のとおりです。

メリット

  • 自主性、独立性が高く、利益幅も大。
  • 商品戦略、ブランド維持、立地戦略などもほぼ自社の裁量で決定できる。
  • 現地に進出し、駐在させるため、現地フランチャイジーを管理しやすい。
  • 日本から現地子会社を通じて、現地のFC先に商材を卸すことができる。その場合、現地子会社側で再販価格を決められるため、利益を得やすい構造を作りやすい。

 

デメリット

  • 投入コスト、投入人員が大きく、失敗時のリスクは大きい。

3.越境契約・現地指導型

日本企業X(フランチャイザー)が現地パートナー(フランチャイジー)と越境でマスターフランチャイズ契約を行い、他の現地企業とサブフランチャイズ契約を行いFC展開するパターン。

フランチャイズ(越境契約・現地指導型)

現地の有力パートナーとの間でマスターフランチャイズ契約を行うことによって、現地での店舗拡大を急速に実施していく場合に取られることが多いです。

但し、日本企業(フランチャイザー)は現地に法人を持たないため、現地パートナーがフランチャイズ展開していく際に、出張ベースで新規店舗に現地指導をお粉ルカたちになります。

最近ですと中国におけるフランチャイズ展開は、大規模フランチャイズパートナー、いわゆるメガフランチャイジーがマスターとなり、中国の広範囲においてフランチャイズ展開を行うと言った話もよく聞かれます。

この形態のメリットデメリットをまとめると以下のとおりです。

メリット

  • 投入コスト、投入人員が小さく、資金的なリスクは少ない。
  • パートナー側が力や財力を持っているケースが多いため、急速なFC店舗展開が見込まれる。

デメリット

  • 現地パートナーの意欲・人脈等に依存するため、成否はパートナー次第。
  • 出店スピード、ブランディングも制御しにくい。
  • 契約内容次第では、自社の直営店を出せないことも。
  • 現地の店舗をどのように管理するかが大きな課題。
  • 相手側にマスター権を与えることになるため、信用できるパートナーを選べるかどうかが一番の問題。

Ⅱ.まとめ

要点まとめ

1.越境型

→一番コストが掛からないFC展開の手段。パートナーが複数できた際にどのように管理を行っていくかが課題となる。

2.現地FC本部設置型

→一番バランスが取れている方法。現地に子会社を設立することになるため、現地におけるコントロールがききやすい。一方で、設置した子会社のコストを考える必要がある。

3.越境契約・現地指導型

→現地パートナーにほぼ依存してFC展開を行う形。相手側に主導権を握られる可能性はあるが、相手側の力量によっては店舗の急拡大も可能。

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髙橋祐希
髙橋祐希
海外進出コンサルタント
外食・小売・教育・理美容・コンテンツなどのサービス産業を中心に海外への進出・店舗開店支援を行います!
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