2.1海外進出時の検討事項

外資規制について

高橋 祐希

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祐希
祐希
今回は、サービス産業が海外進出際に避けて通れない「外資規制」についてご説明します。
はるか
はるか
外資規制の有無は、考えているビジネスがその国で行えるかどうかに直結するのよね。
祐希
祐希
そうなんです。一口に「外資規制」と言っても色々なパターンがあるので、しっかりと理解して対応することが重要です。

Ⅰ.外資規制とは

「外資規制」とは、特定の産業に外国人もしくは外国企業(以下、外資という)が参入しようとする際に、外資に対して適用される法律・ルールであり、一般的には自国民や自国法人(以下、内資という)に対するルールと比較して厳しい要件が課されているものです。

「外資規制」については、主に以下の5つの点について確認する必要があります。
①規制業種について
②出資比率規制について
③最低資本金規制について
④土地取得に関する規制にについて
⑤その他の規制について

1.規制業種について

各国は、様々な理由から外資に参入してもらいたくない産業分野について、外資の参入規制をしています。参入規制の対象となりやすいのは主に、①国の安全保障に関する分野か、②国際競争力の低い分野、であることが多いです。

①の国の安全保障に関する分野の例としては、軍事産業に始まり、テレビ・ラジオ・電話などの通信分野、電気・ガス・水道などのインフラ分野が挙げられます。

安全保障に直結するわけではありませんが、教育分野も国民の思想や信条に直結し、将来的な国の人材輩出に影響が出るため、①に入るかもしれません。

②の国際競争力の低い分野については、特に新興国においては外食・小売・理美容などのサービス産業分野全般をこれに含めていることが多いです。

これらの規制業種については、分野・産業によっては外資による参入を完全に禁止している分野もあることに注意が必要です。

各国の具体的な規制業種を知るためには、通常ネガティブリスト(Negative List)と呼ばれる各国が禁止/規制している業種一覧を確認する必要があります。このネガティブリストは定期/不定期で改定されるため常に最新情報を確認する必要があります。

2.出資比率規制について

各国ネガティブリストに記載されている参入規制業種については、通常出資比率の制限があります。要するに、外資が100%自己資本で出資(以下、独資)することはできず、必ず進出先の内資による一定割合以上の出資が必要になります。

例えば、タイにおいてはサービス産業全般への外資の出資は50%未満である必要があります。タイにおいてはその法人が「外資」か「内資」かを判断する基準が、外資による出資比率が50%以上か否かで判断され、外資出資比率が50%未満であれば「内資」法人扱いとなります。

そして、タイにおいて「外資」は原則としてサービス産業への参入が不可であるため、各外資企業は現地パートナーと合弁を組み、出資比率を50%未満に抑えることで、「内資」法人として現地サービス産業に参入しています。

3.最低資本金規制について

また、国によってはネガティブリストに記載されている外資参入規制業種について、参入する場合の最低資本金額を設定している場合があります。

例えば、フィリピンにおいて外食業での参入をする場合、同国においては外食業は小売業の一部とみなされ、小売業の参入規制が適用されます。

同国において外資が小売業に参入する場合には、最低資本金額として250万米ドル(日本円で約2億5,000万円)の投資が求められます。これは、チェーン店で多店舗展開する場合も、座席数1席しかない小さな店舗であっても同じです。

4.外国人の土地所有規制

先進国においては、一部を除き外国人の土地所有規制は無いことが多いです。一方で、新興国においては外国人および外国法人による土地の取得が厳しく制限されている場合が多いです。これらの国においては、所有権と使用権が分かれており、使用権の売買もしくは賃貸借がされているケースが多くみられます。

5.その他の参入規制について

メディアやコンテンツ関係に対する内容審査(中国、ベトナムなど)が行われるなど、所管官庁・当局の許認可が必要な場合があるので注意が必要です。

祐希
祐希
各国ごとの規制や、業種ごとの規制については別の記事で説明します。
要点まとめ


・サービス産業の海外進出の場合、新興国を中心として「外資規制」がある
・外資規制はネガティブリストに記載されていることが多く、改定される
・外資規制には出資比率や最低資本金などのルールがある
・国や産業によって外資規制の内容は違う

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髙橋祐希
髙橋祐希
海外進出コンサルタント
外食・小売・教育・理美容・コンテンツなどのサービス産業を中心に海外への進出・店舗開店支援を行います!
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