製造業の進出とサービス産業の進出の違い
Ⅰ.製造業の進出とサービス産業の進出の違い
1.製造業の場合
日本企業は昔から色々なものを生産して海外に輸出・販売してきました。販売が軌道に乗ると、日本での生産、海外への輸送はコストがかかることから、企業は販売先に近い場所に工場などの拠点を設けて生産・販売を行ってきました。自動車や電化製品などが例として挙げられます。
こういった製造業の海外進出の場合、進出先国では工場が立地し、その規模に応じて雇用が生まれることになります。また、雇用された労働者は賃金が支払われ可処分所得が増加します。これによって消費が増加することになります。
また、生産された商品は国内で流通するものもあれば海外へ輸出されるものもあります。第三国へ輸出は外貨獲得の大きな手段となります。
このように、雇用の創出・消費の拡大・外貨獲得などにつながる製造業の進出は、結果的に進出先国経済の成長に寄与することが多くあります。このため、各国政府や地方自治体は各種の優遇措置を取り揃えて、こういった大規模な製造業の誘致を競い合っています。
2.サービス産業の場合
では、サービス産業の場合はどうでしょうか。例えば日本からブランド力があり競争力がある大規模小売店が新興国に進出した場合、雇用はある程度生まれますが、その一方で競争力のない現地の地場の小売店舗が競争にさらされることになり、結局は競争に勝てず閉店や倒産に追い込まれることも多くあります。そうなると、従業員が解雇されることにもなり得ます。
国自体がまだまだ成長段階で、ブランド力が低く国際競争力の乏しい企業が多い新興国では、自国の産業や地場企業を保護することを目的に、様々な規制を設けて外国企業の市場参入を厳しく制限しています。
このため、多くの場合サービス産業の海外進出は製造業の海外進出に比べて、様々な面でハードルが高くなる傾向にあります。
それに、各国が取り決めているサービス産業への外資の参入制限についても別の回で説明します!
・サービス産業の海外進出は他の産業よりもハードルが高い場合が多い!
・この為、事前の準備がとても重要!